115.相続人の資格喪失、相続人が行方不明のときは (2017-03-29)
■■相続人の資格喪失
遺産相続の前の段階では、民法上の規定で「相続人になるはずの人」を「推定相続人」といいます。この推定相続人は、ある条件があれば相続人の資格を失ってしまいます。「相続人の資格喪失」です。葬儀の後に、「推定相続人」を確認しましょう。
この資格喪失には①「相続欠格」と②「相続排除」という2つのケースがあります。
まず、①「相続欠格」のケースですが、これは推定相続人が以下のような行為をした場合です(民法八九一条)。
・被相続人を殺害、もしくは殺そうとした場合。あるいはまた、自分より優先順位の高い相続人や同順位にい
る相続人を殺したり、殺そうとした場合で、そのために刑に処された者
・被相続人が誰かに殺されたことを知っていながら、犯人を告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別
がない場合や、犯人が配偶者もしくは直系血族であった場合は該当しない
・被相続人に対してだましたり脅かしたりして、被相続人が遺言したり、すでにある遺言を取り消したり変更
しようとすることを妨害した者
・同様にだましたり脅かしたりして、被相続人の意に反する遺言をさせたり、すでにある遺言の取り消しや変 更を強要した者
・被相続人の遺言書を故意に偽造、変造、破棄、隠匿した者
また、②「相続廃除」のケースは、以下のような場合です。
遺留分を有する推定相続人が被相続人を虐待したり、重大な侮辱を加えるなど、推定相続人に著しい非行があった場合。この場合は、被相続人が生存中に家庭裁判所に「相続廃除」の申請を行います。また、その手続きをしないで、遺言で推定相続人を廃除することもできます(民法八九三条)。
■■相続人が行方不明のときは
最近のように景気が悪い時代は特にそうですが、突然人が蒸発し、長い間行方が分からなくなることがあります。相続人が生死不明の状態では、遺産相続を開始させるわけにもいきません。そこで、民法では一定の手続きを行うことで「失そう人をある時期に死亡したものとみなす」制度を用意しています。これが「失そう宣告」です。
一定の期間(普通の場合7年間)が経過した後、家庭裁判所では配偶者、その他の相続人などの利害関係者からの請求を受けて、公告を出し、失そう宣告を行います(民法三〇条)。
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