116.被相続人の意思を最優先できる、15歳以上なら遺言できる、遺言書で指定できる主な事柄(1) (2017-03-30)
■■被相続人の意思を最優先できる
いまだ日本では「遺言」という考えが浸透していませんが、被相続人が自分の意思を明確にして、遺産分割にかかわる遺族間のトラブルを最小限に防止する――遺言書の作成にはこのようなメリットがあります。
というのも、遺言による「指定相続」が、「法定相続」による遺産分割よりも優先されるからです。その意味では、死後に心配事がある場合には、あらかじめ遺言書を作成しておくことが賢明な方法です。
遺言書を書いた方がよいケースは以下のような場合です。
・子どもがいないので、残される妻に全財産を相続させたい
・共同相続人ごとに、特定の財産を自分の思うように指定配分したい
・特別にお世話になった家族、親戚、友人の誰かに財産の一部を譲りたい
・事業や農業を継続させるために財産を分散させたり、細分化したくない
・孫にも財産の一部をどうしても譲りたい
・内縁関係にある人に財産の一部を譲りたい
・ある団体の資金の一部として寄付したい
■■15歳以上なら遺言できる
未成年者であっても15歳に達していれば、誰でもが独立して遺言することができます(民法九六一条)。
葬儀後に15歳以上の相続者がいることを確認しましょう。
■■遺言書で指定できる主な事柄(1)
遺言書には何を書いてもいいわけではありません。記載できる事項は法律で決められているからです。また、遺言書には決められた書式があります。具体的にどのようなことが遺言できるのか。民法で定められた遺言できる事項のうち、主なものを説明しておきましょう。
・推定相続人の廃除、およびその廃除の取り消し
・遺産分割方法の指定
遺産分割方法には三種類ほどあります。
①現にある遺産の現物分割をすること
②何かの代価に見積もる換価分割をすること
③何かの代わりとしての代償分割をすること
分割方法の指定とは、例えば「土地と家はAに、預金はBに」と指定することです。このように遺言書に書かれてあれば、特別の事情がない限りこの指定が優先されます。また、分割方法の指定を第三者に委託することもできます。
・相続分の指定、およびその指定を第三者に委託すること
相続分とは、相続財産全体に対して個々の相続人が取得する割合です。被相続人は自分の意思に従って、相続分について相続人の一部、または全員のものを指定することができ、あるいは相続分の指定を第三者に委託することもできます。遺言で相続分の指定がなされた場合――例えば「法研太郎に〇〇の土地を半分相続させる」というようなケース――では、相続人全員によってその点を考慮して分割協議されることになります。
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