122.遺留分の権利者、遺留分の減殺請求には時効がある (2017-04-06)
■■遺留分の権利者
遺留分というのは、被相続人が相続財産のうちから相続人に対して必ず残しておくべき一定割合の遺産のことです。言い換えれば、日本の法律では、遺言が優先されるとはいえ、必ずしも遺言(つまりは遺言者の意思)だけが遺産相続に反映されるわけではありません。相続人に対しては「法律によって最低限の相続分を確保してあげよう」というのが遺留分の制度なのです。葬儀後に遺留分の権利者を確認しておきましょう。
遺留分の割合については、誰が相続人であるかによって異なりますが、民法一〇二八条では以下のように決
められています。
・直系尊属だけが相続人である場合――遺産の三分の一
・その他――遺産の二分の一
原則として、相続人はこの割合に基づいて相続分を確保されるわけで、プラス・マイナス何がしかの財産を相続できます。ただし、法定相続人の誰でもが遺留分の権利を有するわけではありません。遺留分権利者になれるのは、被相続人の①配偶者、②被相続人の子およびその代襲者、③直系尊属(被相続人の父母、祖父母)だけ。兄弟姉妹は遺留分を持ちません。
■遺留分の割合
相続人 :総資産に対する遺留分
配偶者だけ :1/2
子(直系卑属)だけ :子供全員で1/2
:2人の場合の1人分1/2×1/2=1/4
親(直系尊属)だけ :1/3
配偶者と子 :配偶者1/2×1/2=1/4
:子供全員1/4
:子供2人の場合の1人分1/8
配偶者と親 :配偶者1/2×2/3=1/3
配偶者と親 :親1/6
配偶者と兄弟姉妹 :配偶者1/2
:兄弟姉妹には遺留分なし
■■遺留分の減殺請求には時効がある
遺言書が相続人の遺留分をオーバーする処分を指定している場合、その処分が直ちに「無効」となるわけではありませんが、遺留分の侵害になります。したがって、遺留分権利者である相続人は、侵害された遺留分についてほかの相続人や受遺者に請求することができます。これが「遺留分の減殺」の請求です(民法一〇三一条)。
ただし、この請求権には時効があり、有効なのは遺留分を侵害された相続人が相続があったことおよび自分の遺留分が侵害されていることを知ったときから1年、あるいは相続開始のときから10年間。この期間を過ぎたら失効してしまいます(民法一〇四二条)。
また、遺留分の算定では、基礎となる財産を明らかにする必要があります。つまり、相続開始時に現にある財産に、被相続人が贈与した財産の価額を加えたものから、債務の全額を控除した額ー基礎となる財産は、このように算出されます(民法一〇二九条一項)。
さらに、遺留分の減殺にも限度が設けられていて、遺留分を維持・保全するのに必要な額を超えることができません(民法一〇三一条)。権利があるからといって、むやみやたらな請求は不可能なのです。
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